《2025年11月》高市政権の21兆円補正予算、円安加速、そして過熱する株式市場の行方

日本経済 時事ネタ

高市政権による21兆円の補正予算決定は、有事でもない状況での財政出動として、その規模に驚きを覚えます。この政策の是非についてコメントするのは難しいですが、その影響と市場の動向について、私自身の見解をまとめます。

1. 21兆円の財政出動:痛み止めか、成長戦略か?

物価高への対策は喫緊の課題ですが、今回の巨額な財政出動は、政策の目的が「物価高を止めたいのか」それとも「物価高でも国民が生活できる仕組みを作りたかったのか」が不明確に感じられます。

  • 政策効果の疑問点: この補正予算は、一時的に国民の苦痛を和らげる「痛み止め」としての効果しか持たないのではないでしょうか。薬の効果が切れた後、物価高という根本的な問題に対する次の手札は何なのかが見えません。
  • 財政規律: 平時にこれだけの大規模な出動を行うことの是非は、将来世代への負担という観点からも、引き続き議論が必要です。

2. 急加速する円安と為替介入の是非

高市総裁に代わってから、円安が約10円も進行しました。輸入に頼る日本経済にとって、ここまでの急速な円安は、間違いなく物価に跳ね返り、国民生活を直撃します。

  • 日銀のジレンマ: 10月の金融政策決定会合で利上げが見送られた今、金融政策による円高誘導は期待できません。
  • 個人的な見解: 私は、この水準、このスピードでの円安進行は、為替介入によって一旦流れを断ち切るべきだと個人的には考えています。物価安定と国民生活を守るためにも、迅速な対応が求められています。

3. 株式市場の需給バランスへの警鐘

市場の需給バランスは、短期間で大きく変化しています。

  • 信用売り残の減少: 信用売り残は一時1.5兆円ありましたが、高値での買い戻しが進み、現在は約9,000億円で推移しています。これは、ショートカバー(売り方の買い戻し)が一巡したことを示唆しています。
  • 信用買い残の急増: 一方、信用買い残は1ヶ月間で1兆円も増加し、4.8兆円に達しました。一気に株価が上昇したことで、強気な投資家が増加した印象です。
  • 市場の過熱感: 上昇ピッチが早いと感じており、これだけ買い残が増えると、今後、少しの悪材料でも投げ売りが出やすく、下落のエネルギーを溜め込んでいる状態と言えます。
  • 12月メジャーSQへの注意: 年末にかけては12月のメジャーSQ(特別清算指数算出日)も控えています。このタイミングでは、海外勢によるヘッジや仕掛け的な売り注文が入ることが多く、現在の高い買い残高を標的とした売り仕掛けにも警戒が必要です。

まとめ

現在の日本経済は、政府の巨額な財政出動、制御不能な円安、そして過熱感のある株式市場という、複雑な要素が絡み合っています。投資家としては、これらの政策や市場の需給変化を冷静に見極め、リスク管理を徹底する必要があります。