🍺 第2のJTは「酒」で決まり!キリンHD(2503)の海外戦略と長期バリュー投資の魅力

飲料 ブログ

前回、JT(日本たばこ産業)が加熱式タバコの成功で利益構造を劇的に転換し、増収増益・増配を続けているお話をしました。規制産業でありながら世界で成長を取り込むJTの姿は、まさに「理想的なバリュー成長株」です。

そして、その「第2のJT」を探る次のテーマとして、私は「お酒」に注目しました。タバコとアルコールは国内市場が縮小傾向にある点で共通しており、「いかにグローバル市場の成長を取り込むか」が鍵となります。

世界から見た日本:低すぎるアルコール消費

ご存知の通り、日本は世界的に見るとアルコール消費がかなり控えめです。若者の「飲み会離れ」も進み、国内市場の成長は見込みにくい状況です。

しかし、世界に目を向ければ、アルコールへの需要は根強く、特に新興国では市場が拡大しています。

このグローバルな需要を取り込み、利益構造を海外シフトさせる戦略こそが、「第2のJT」への最短ルートです。

🎯 キリンHD(2503)を「第2のJT」候補に推す理由

海外売上高比率が高い企業もありますが、今回は敢えて、長期的な成長ポテンシャルに注目し、キリンホールディングス(2503)を選定しました。

  1. 安定した収益基盤と魅力的な配当
    直近の業績: 今期も増収増益を見込んでおり、国内事業で安定した収益基盤を維持しています。

株主還元: 予定通りの増配見込みで、現在の配当利回りは3%強。これは、海外成長を待つ間も、安定したインカムゲインを確保できる、バリュー投資家にとって非常に魅力的な水準です。

  1. 長期で「海外比率20%」を目指す明確な戦略
    キリンHDの現在の海外売上高比率は約7%と控えめですが、企業は「10年間で20%を目指す」という明確な長期目標を掲げています。

目標達成まで10年と聞くと、「気が遠くなる」と感じるかもしれません。しかし、これはまさに「割安なうちに仕込み、長期の成長を待つ」というバリュー投資の基本戦略に合致します。

  1. 海外成長の鍵は「高付加価値化」と「選択と集中」
    JTが加熱式タバコで成功したように、キリンも「高付加価値化」と「事業ポートフォリオの最適化」を進めています。

成長ドライバー: オセアニアやミャンマーといった成長市場でのビール事業や、日本でのクラフトビールの強化。さらに、健康・機能性飲料やバイオ・ヘルスケア事業を新たな収益の柱に据え、収益構造の多角化を進めています。

戦略的な事業再編: 過去のブラジル事業売却に見られるように、成長が見込めない事業からは撤退し、成長分野に資本を集中投下する戦略は、海外比率を高める上で不可欠です。

✅ 投資家としての結論:追加投資を進める理由

キリンホールディングスへの追加投資を進めるという判断は、非常に合理的であると考えます。

それは、国内の安定基盤と高配当という「守り」を持ちながら、海外比率20%という明確な目標に向けた「攻め」の戦略を長期にわたって実行しているからです。

「第2のJT」への道は、一日にして成らず。10年という長いスパンで、着実に海外市場を攻略し、利益構造を変革していくキリンHDの動向を、配当を受け取りながら冷静に見守っていきましょう!